

榎原 尚徳 様


今田 智大 様

(1)社員寮の運営は、どのようにされているのでしょうか?
弊社は、自社が保有する社有寮と共立メンテナンスに依頼している、「社員寮ドーミー」の2本立てで運営しています。主に社員寮ドーミーは新入社員が入社後約10か月継続する研修期間中に使用し、利用者は約100名になります。新入社員の中には初めて一人暮らしをする者や遠方から上京してくる者もいますので、管理側としては居住の不安面のサポートを、居住者側としては同期が同じ寮内にいる安心感があります。家具・食事付きで身一つで入寮できますし、管理マネージャー夫妻が常駐しており、万一のときにも相談できて非常に心強いです。
新入社員研修は約10か月間、配属先が決まるまで継続するため、その間約100名が寝泊まりできる場所を確保する必要があります。その規模で対応いただけるのが社員寮ドーミーでした。研修中は、週単位で様々な職場に仮配属させ、内勤や現場実地を経て、翌年2月に晴れて本配属となります。4月には次の新入社員約100名が入寮してくるというヘビーローテーションです。
今田さんには、人事部の教育長として新入社員の日常のケアをお兄さん的な立場で専従してもらっています。弊社の以前の新入社員研修はこれほど長期間ではなく、入社後に辞令を受けたらすぐ各所へと配属されていました。三田さんは、新しい社員研修制度になって二期生かな?
はい、二期生です。10か月の新入社員研修中は、社員寮ドーミーで生活していました。
そうだね。だから、勝沼さん、三田さん、私は社員寮ドーミーの入寮経験者だね(笑)。茨城の取手と東京の光が丘にある研修センターからの通勤時間や距離を計測し、共立メンテナンスに提案してもらいました。
弊社は、人材で成り立っている企業です。メーカーや金融機関と異なり、固定施設を保有していません。持たざる経営のため、会社の資産は「人」なんです。
いわゆるゼネコン業界は、昔から師弟制度のような見様見真似で仕事を覚えていくのが全体的な業界の社風でした。しかし、現在は体系的なカリキュラムを作成し、座学と実践を効果的に絡め、新入社員研修中に理解できるよう取り組んでいます。必要な資格が取得しやすい環境を整え、本社機能や現場を把握した上で本配属になるよう、8年前に抜本的に改革しました。その結果、離職率が激減しました。
そうですよね。私たちは10か月の新入社員研修が無い世代でしたので、同期がどんな仕事をしているか全く分かりませんでした。現在の研修制度に変わって、同じ寮で寝泊まりするようになったことで、同期同士が仲良くなるので、「Aくんはマンションの現場でこういうことをやっているのか」や「Bくんは倉庫の現場でこんなことがあったんだね」と、仕事の知識の共有ができ助かっています。
研修は新入社員全体での研修に加え、建築・土木・事務の職種別に分かれて座学と現場実習を絡め、教育長や人事部研修チーム、そして若手の先輩インストラクターが手厚く対応しています。寮の部屋割りも職種ごとのコミュニケーションの取りやすさを意識して決めています(すべて一人部屋)。
特に建築と土木は、いざ現場に入ってしまうと納期に追われ、まとまった時間を確保するのが難しい場合もあります。できるだけ研修期間に資格取得の勉強ができると将来助かりますし、また、誰かが勉強していると自分も勉強しようといった、寮ならではの相乗効果が生まれやすいですね。
はい。私の実体験として、悩み事を相談できる相手が、同じ寮にいると精神的に助かるなという想いがあります。先程、榎原さんが言っていたように、離職率が減った要因のひとつでもありますね。私は事務系ですが、配属される現場ごとに雰囲気が異なりますので、ストレスを感じる場面もありました。そんなとき、寮の大浴場で同期に話すと、リフレッシュできました。
寮に食堂があるのはいいよね。私が住んでいた下赤塚の社員寮ドーミーには、弊社以外にも様々な業界・職種の方が居住していて、管理マネージャーや寮母さんの紹介で仲良くなったりしました。寮母さんが気を使ってくれるし、他の若い人も集まって話したり、食堂の雰囲気がとても良かったです。細やかな心配りがありがたかったですね。
実務的なことでいうと弊社のような建設会社は、職場が一定しないのが最大の特長です。工事が完成すると違う現場に配属になり、工事の場所が変われば住む場所も変わります。その都度引っ越しが必要で、中には、段ボール3箱でどこにでも行けるという人もいますが、果たしてQOL(クオリティオブライフ)的にどうなのかと。
即効性という意味で身の回りの物を持参すれば、食事、寝室、浴室が整えられた場所が確保されていると、安心して仕事に集中できます。22歳で入社し65歳で退職するまで、会社人生があるのですから、まずは職場に近い社員寮ドーミーに入寮し、落ち着いてから自分が気に入った住まいを探す方がいてもいいと思います。
昔の下宿屋の風景、皆さんご存じないでしょう?寮のドアを開けると管理人さんの部屋があって、そこに10円玉の公衆電話が置いてあり、10円を積んで話す時代があったんですよ!管理人さんが布団までセットしてくれていて、プライバシーはあまり無かったけれどもどこか安心が出来る、そんな時代があったんです。勿論、社員寮ドーミーではプライバシーも確保されているのですが、どこかそんな下宿屋の安心できる雰囲気が感じられるのが魅力の1つだと感じています。
(2)今後、寮の未来はどうなっていくと思われますか?
昔は重機を自社で所有して、作業員さんも直接雇用する時代もありました。重機や機材をおく機材センターがある広大な敷地を保有し在庫管理をしていました。それが時代とともに、協力会社やリース会社に依頼するようになっていきましたが、自社所有の西船橋の自社寮はその機材センター跡地に建っています。経営的な観点でいうと、今後はさらに持たざる経営にシフトしていくでしょう。
私の初任地はダム現場でした。現地にいくと仮設の宿舎があり、私より先に布団が届いていました。「君のための布団が届いているよ」と言われたのを憶えています。身体ひとつで動いても、食べることや寝る場所は会社が用意をしてくれ、何かあったときに相談できるのは助かりました。時代とともに提供内容は変化していきますが、さらに持たざる経営が進んで行く中、ドーミーさんのようなサービスはより重要になっていくと思います。保有資産を減らしながら、サービスの選択ができる状態が担保されていることが大事だと思います。
(3)最後に寮に対しての想いや、新入社員へのメッセージをお願いします。
社有寮を管理している立場からいうと、自社施設が満室になったときに住む場所を用意し、即時受け入れ可能な社員寮ドーミーがあり助かっています。将来的にも、セーフティネットとしてサポートをお願いしていきたいです。
私は実際に社員寮ドーミーに住んでいました。管理マネージャー夫妻はあたたかくて住みやすいところです。入寮を検討されている方も安心されてください。
私は下赤塚の社員寮ドーミーに住んでいます。マネージャーさんがすごくいいんです。エレベーターの中に連絡事項の案内として貼り紙があるのですが、例えばボイラーが使えない書面の場合、その文面に「ごめんなさい、ご不便かけます」と、なんだか人柄がにじみでています。管理マネージャーご夫婦の仲がよく、こんな温かい方に巡り合って良かったと思っています。共立メンテナンスでも管理マネージャーの研修旅行をされたりしているそうですね。企業として管理マネージャーを支え、彼らが我々を支えてくれています。
昔、ボヤ騒ぎがあったときには共立メンテナンスが企業一丸となり、丁寧なケアをしていただきました。そういう緊急事態の対応に、何を大事にしている企業なのかが伝わります。お世話になっていて気持ちいいですし、いつも信頼しています。
これから入社する新入社員には、「自分の父ちゃん母ちゃんと離れて入寮しても、こっちにも父ちゃん母ちゃんがいるよ」と伝えたいですね。1つエピソードがあって、コロナが流行している、かつ社会的にコロナの全体像がつかめないときに、弊社社員が感染してしまいドーミー寮のゲストルームへ隔離対応となることがありました。私が本人と電話でコミュニケーションをとっていたのですが、熱がさがらないという状況になり、救急車を呼んだのですが、救急もすぐには搬送できないという状況で、会社としても本人も非常に不安な状況でした。病院へ搬送できるまで管理マネージャーさんが常に頻繁にノックをして、扉ごしに声をかけてくれたり、私にメッセージをくれたり、コンビニにゼリーを買いに行き、本人へ届けてくれました。「さっき部屋の前にいって、飲み物や食べ物を渡してきたから」という管理マネージャーさんからの対応報告について電話をスピーカーにして、当時の責任者たちと私で一緒に聞きました。そうした連携も、少しでも判断を間違えたら人命にかかわることを命をかけて守ってくださった。家族のようにケアしてくれた安心感や信頼感があります。だからこそ、自信を持って、「こっちにも、父ちゃん母ちゃんがいるよ」と伝えたいです。